レーシック手術後の角膜感染症多発事件に関する日本眼科医会の対応

  レーシック手術を受けた患者が相次いで角膜炎を発症した感染事故で、元院長が業務上過失傷害罪で起訴され、一審・二審ともに禁固二年の実刑判決が出され、本年3月に有罪が確定されたことは記憶に新しいことと存じます。その後も、民事につきましても裁判が進められていましたが、本年7月20日に和解が成立しました。

  今回の事件を受けて、日本眼科学会では「エキシマレーザー屈折矯正手術のガイドライン」の見直し、屈折矯正手術講習会の実施回数増加と参加アクセスの改善、講習会再受講の義務化、合併症実態調査の実施などの改善策が講じられてきました。

  日本眼科医会(以下、当会)としましても、元院長はすでに当会の会員ではありませんが今回の事件を重く受け止め、今後、二度とこのような不祥事が起きないように、対策に取り組んできました。

  滅菌・消毒など日常業務の再点検、精度管理および医療現場での感染防止の徹底、器具の管理・保守点検などの確実な励行などを会員に周知しました。

  今まで一度も開かれていなかった当会の定款にあります「裁定委員会」を開催し、今後は「医道審議会」で処分を受けた会員に対して、「裁定委員会」で審議していくことにいたしました。

  また、今までなかった「倫理委員会」を設け、当会会員の倫理意識の高揚を図るために学会で「医療倫理」に関するインストラクションコースを継続して開催し、当会として「倫理綱領・倫理規定」を制定し、会員に配布いたしました。

  日常診療では、十分な説明と同意が求められていますが、今回の事故にあわれた方々は十分な説明を受けないままに手術を受けてしまったとのことで、診療に際しては十分な説明を行い、理解されたかを判断した上で同意を得るように、会員に周知いたしました。

  また、医師は常に崇高な志を持ち、1)医学知識・技術の習得と生涯教育、2)研究心、研究への関与、3)品性の陶冶と品位の保持に努め、卑しくも安価な手術費用や手術時間の短さを競うがごとき喧伝は行うべきではなく、医療の現場では常に安全が優先されなければならないことを再確認いたしました。

  国民の皆様におかれましても、「医療は安全」でなければなりませんが、「医療には不確実性」が伴うこともご理解いただき、医業宣伝等に惑わされることのないように、賢明なご判断をお願い申し上げます。

  当会は、「広く国民に対し正しい眼科医療の啓発及び教育活動を行うとともに、眼科学及び眼科医療に関する調査研究、公衆衛生活動、会員の倫理高揚及び資質の向上を図り、もって国民の保健・福祉の向上に寄与することを目的とする」団体であり、本年4月からは「公益社団法人」として活動いたしております。今後とも、国民の目の健康を守り、保持増進するために邁進してまいりますので、ご理解を賜りますように、よろしくお願い申し上げます。